法話(2019年12月18日)

 

ダンマパダ(法句経) 生きることは苦である

 

 12月8日は、お釈迦様が悟りを開かれた日です。

 そして、それ以降たくさんの人に説法をなさいました。パーリ語という2000年以上前の古代インド語で書かれた原始経典として多数残されており、それをニカーヤと言います。(お釈迦様はマガダ語で説法されたそうですが)

 また、パーリという言葉の意味は“聖典、聖なる言葉”で、今でもスリランカ・東南アジアの僧侶はパーリ語で学んでいます。

 そのニカーヤが中国に渡り漢訳されたものが阿含経です。

 

パーリ語の原始経典(ニカーヤ)       漢訳された原始経典(阿含経)

ディーガ・ニカーヤ(長部・長編34経)      → 長阿含経30経

マッジマ・ニカーヤ(中部・中編152経)      → 中阿含経222経

サンユッタ・ニカーヤ(相応部・小中編2,872経) → 雑阿含経1,362経

アングッタラ・ニカーヤ(増支部・小編約2,308経)→ 増一阿含経471経

クッダカ・ニカーヤ(小部15経)

=ダンマパダ(法句経)・スッタニパータ(経集)その他13

 

 今日は、ニカーヤの中でも多くの人々に影響を与えたダンマパダ(法句経)の中からいくつか紹介します。

 なお、ダンマパダは現代語にも翻訳されており内容は具体的でわかりやすく「お経」という感じはせず、原文はきれいなリズム・韻がふまれ声に出して詠むにふさわしいものです。

 

19「ためになることをいくらたくさん語っても、それを実践しなければ怠け者である。それはたとえば牛飼いが他人の牛の数を勘定しているようなものだ。そういう者は、修行者とは言えない。」(正業 正しい行為をすること)

 

50「他人の間違いに目を向けるな。他人がした事、しなかった事に目を向けるな。ただ自分がやった事、やらなかった事だけを見つめよ。」(正見、正思惟)

 

116「善は急げ。心を悪から遠ざけよ。徳を積むのにのろのろしていたら、心は悪事に惹かれてしまう。」(精進)

 

223「怒らないことによって怒りに打ち勝て。善いことによって善からぬことに打ち勝て。布施することによって物惜しみに打ち勝て。真実によって嘘つきに打ち勝て。」(貪・瞋・痴)

 

 心の中にある悪い要素(煩悩)を断ち切ること

 輪廻を停止させ、絶対安穏な状態になる

 一切皆苦のこの世界で真の幸福を手に入れる唯一の道

 

153「私は、(苦しみの基盤である「自分」という)家の作り手を探し求めて、幾度も生死を繰り返す輪廻の中を、得るものもなくさまよい続けた。何度も何度も繰り返される生は苦しみである。」(輪廻、解脱)

 

154「だが家の作り手よ、お前は見られたのだ。もう二度と家を作ることはできない。その垂木はすべて折れ、棟木は崩れた。心はもはや消滅転変することなく、渇愛の終息へと到達したのだ。」(解脱)

 

278「「因果関係によってつくり出されたすべてのものは苦である」(一切皆苦)と智慧によって見る時、人は苦しみを厭い離れる。これが、人が清らかになるための道である。」

 

(注)この文章は聴聞者の一人がお聞きした内容を自身の言葉で表現したものです。