前回の法話

  法話(2013年12月8日) 


死後の世界は存在する

(平成25年11月28日放送「奇跡体験!アンビリバボー」より)


臨死体験について、数々の論文や本が発表されているが、ほとんどの科学者はそれを否定していた。

 

論文内のケース①1985年アメリカコネチカット州で心肺停止の女性が病気で治療中、ベッドのそばで自分の様子を見ていた。そして、体が天井に浮き、屋上へ。彼女はそこで赤い靴が落ちているのを見る。その後意識が戻り、体験を看護士に話すと「夢を見たのでしょう」と言われた。しかし、その看護士が屋上へ行くと、彼女の話通り赤い靴が落ちていたというのである。

ケース②1973年ワシントン州で、交通事故で運ばれた女性が身体を抜け出し、意識が戻ると、手術中の様子をすべて言い当てる。しかも「先生って男前なのね」と言った言葉に医者は驚く。なぜなら彼女は生まれつき全盲だったのだ。

 

さて、今回の本題であるエベン・アレグザンダーの臨死体験についてである。

エベンはハーバードメディカルスクール脳神経外科に在籍。脳外科の権威である。そのようなエベン医師であるので、自分の患者が臨死体験をした話をよく聞いていたが、死後の世界を否定していた。科学で証明できないものは信じないと思っていたのである。しかし、そのエベン医師本人が臨死体験を経験する。

 

2008年エベン医師54歳の時、細菌性髄膜炎を発症し、昏睡状態に陥ってしまう。特に悪性の強い大腸菌に侵されてしまったのだ。6日間経っても意識が戻らず、遠くから妹のキャシーも駆けつける。友人医師スコットに「あと12時間で抗生剤投与を打ち切る」と言われる。それは死を意味するのだ。その12時間後、奇跡的にエベンの意識がもどる。後遺症もなく退院できたのであるが、エベン医師は退院後、自分の脳のCTスキャンなどを徹底的に調べていった。エベンは、どうしても信じられない経験をしたからだ。可能性として、多くの科学者が述べている「脳の錯覚説」。それは、人が死を迎える時、その恐怖を和らげるため、脳内物質(エンドルフィン)が放出、それは麻薬に似ており幻覚を見せるのだ。しかし、その時、エベンの大脳皮質は腫れ上がり機能していなかった。脳幹でも幻覚は見るが、それは原始的で複雑な物を見るのは不可能であった。次の可能性として「脳の再起動説」がある。これは、以前の記憶が支離滅裂によみがえる「夢」のようなものであるが、エベンは、視覚聴覚とも機能していない12時間前の事を記憶していたのだ。これについては、記憶が脳によるものだという考え方がすべてではない可能性がある。これからの研究課題であると述べた。

 

エベンの臨死体験の内容は次のようなもので、今まで自分の患者から聞いてきた話しと類似していた。

 

闇でありながら視界が利く不思議な世界、子宮の中にいるような遠くから響く音と振動、グロテスクな生物が吠え立ててくる。そこに上から美しい光が闇を崩壊してゆき、美しい旋律が聞こえてくる。光の隙間が開いた瞬間、エベンは空を飛んでいた。「なんて美しい所なのだ」気づくと横に見知らぬ女性が「あなたはいろいろな人々に深く愛されています。決して一人ではありません。お帰り頂いた方がいいでしょう」その後、不思議な世界を回りながら、なんとも安心できる暗闇に降りて行き、生還したのである。

 

実は彼は生まれて間もなく養子となり育てられた。実の父と母は、共に高校生であって、エベンを育てる事ができなかったのだ。2000年、自らも親となったエベンは、実父、母に会いたいと思うようになり、養護施設を通じて対面を望んだが断られてしまう。その7年後、再び今度は直接手紙を書き両親に送り、とうとう53年ぶりに対面が叶ったのである。エベンが病に倒れる前の年のことである。両親によると、その後結婚した二人には、エベンの妹と弟も生まれていた。しかし、妹のベッツィは1998年36歳で他界。以前エベンとの面会を断ったのは、ベッツィを失った悲しさで、エベンに会う勇気がなかったのだという。

 

エベン退院4ヵ月後、エベンが回復したと聞いた両親から一通の手紙が届く。その中には、他界したベッツィの写真が同封されていた。それはまさしく、エベンの臨死体験中に、自分を助けてくれた女性であった。エベンにとっては、妹ではあるが、初めて目にする記憶に存在しない人物であったのだ。つまり、あの体験は幻覚ではなかったのだ。

 

エベンはこう語る。「科学を否定する気はありません。死後の世界を意識することで今を生きる意味を理解できるようになった」と。

 

今をどのように生きていくか、が大事である。


(注)この文章は聴聞者の一人がお聞きした内容を自身の言葉で表現したものです。